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商品説明
陽明叢書・中右記・4冊/起筆・擱筆の年月日が明確にわかる珍しい事例に属する日記・中御門右大臣宗忠・院政初期の基本史料/定価合計55000円
昭和63年 定価合計54000円 重さ約3.82kg 資料用にもいかがでしょうか。 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。
『中右記』は、中御門右大臣宗忠の日記である。二十六歳、正五位下右近衛少将の 寛治元年(一○八七) 正月に始まり、七十七歳、従一位右大臣の保延四年(一一三五) 二月の出家受に筆を搗く。 宗忠は、三年後の 永治元年(一一三八)四月に薨じた。 流は、藤原道長の二男、右大臣頼宗の流である。日記には、散逸して伝わらない歳月 があるが、起筆・擱筆の年月日が明確にわかる珍しい事例に属する日記である。
すなわち、現存の寛治元年正月以下の記事は、後年の日記保安元年(一二二〇) 六 月十七日条の、
今日、私暦部類了、従寛治元年、至此五月肝日、[州]四年間暦記也、合十五鉄百 六十巻也、従去々年、至今日、分侍男共、且令書写且令切続、終其功也、是只、 四位少将宗若遂奉公之志者、為令勤公事、所抄出也、為他人、定表嗚呼欺、為我 家何不備忽忘哉、
の記事によって、 起筆の部分である ことがわかり、 また、 保延四年二月の現存最終 記事が、
廿九日 請入道聖人受戒、世事従今心長断、不日記也、 とあることによって、これが擱筆の記事であることを知る。
ただし、起筆の時期については、 異論がなくもない。『三条西家所蔵記録文書』 (史料編纂所、影写本)の中に収められている「中右記抄出」(仮題)には、 寛治元年 の前年の、応徳三年の記事らしきものがあるからである。
陽明文庫本『中右記』管見
石 井 正敏
筆者が、東京大学史料編纂所に在職し、編纂にあたっていた 「大日本史料』第三編の基幹となる記録は『中右記』であっ 『中右記』の重要な古写本には陽明文庫本と九条家本とが 陽明文庫本の残存する巻は、すでに編纂済みの年紀であったが、 伝記資料の作成などにおいて、折りにふれ参照していた。そし て同本の、流布本になく、『大日本史料』や「史料大成」本に 未収の寛治六年冬巻・寛治七年秋巻を、『大日本史料』第三編 の二十・二十一に補遺として収めることとなり、数度にわたっ て陽明文庫本の原本を調査する機会を与えられた。そこで、そ の時に気付いたことについて述べてみたい。
まず、本書を開くと、一見して数筆から成る写本であること がわかる。優雅な筆、整った筆、右下がりの癖のある字、等々 誠に個性ある筆が入り混じっている。そして一巻を数筆で担当 している場合、文章のキリのよいところ、あるいは紙継ぎ目で かわっているわけでもない。そうした筆の中でも、特に第一巻 - 寛治六年秋巻の冒頭に見えるのびやかな筆にひかれる。その筆は、同年冬巻・同七年春巻(後半)~嘉保二年冬巻・永長二年春 巻等に見えるが、特徴的なことには、それぞれの冒頭数字もし くは数行にすぎず、あたかも見本とするかの如く記されている
近衛家伝来の文庫襲蔵の記録及ぴ文書中より中世の未公刊史料を中心に影印で刊行。各輯ごとに書誌および史料的位置、当時の時代背景、さらに近衛家にも触れた解説を付す。
中右記(ちゅうゆうき)は、藤原宗忠が寛治元年(1087年)から保延4年(1138年)まで書いた日記である。筆者には『愚林』と名付けられたようだが、「中御門右大臣の日記」を略して『中右記』と呼ばれる。
応徳4年・寛治元年(1087年)、宗忠26歳の元旦から書かれた。初めから寛治5年(1091年)までは、元の日記をずっと後に整理して書き改めたもので、寛治3年分は本人、他の年は子の藤原宗能が改稿した。その結果以降の時期と比べて簡略になっており、中でも寛治3年分がもっとも短くなった。改稿により原本は破棄された。
一部欠落はあるが、50余年にわたり政治上の要事を克明に書き留めた記録である。人の死亡時に六国史にあるような略伝を付けたのが日記では他に例のない特徴である。当時の政治社会情勢や有職故実、人物像を知る上できわめて有用で、院政初期の基本史料である。
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